
はじめまして、0xMach(@0xMach)です。今回は日本のNFT市場について紹介します。
目次
日本と海外のNFT市場の違いについて
最近は特に日本のNFT市場が海外でも注目を浴び始めています。しかしながら日本と海外のNFT市場はその特徴が大きく異なることから、海外から見てなぜ日本の市場が盛り上がっているのか理解することが難しい状況になっています。
海外のリサーチャーから見てどのように日本のNFT市場は映っているのでしょうか。例えば下記のツイートは日本のNFT市場を的確に捉えていますが、ほとんどの場合、海外市場とのギャップに戸惑っているように見受けられます。
格安MINTの魅力とHOLD文化圏について
そこで、ここからは日本のNFT市場を理解するためにCNPにマーケターとして関わっているikehaya氏(@IHayato)の下記ツイートやNote、音声コンテンツを中心に格安MINTの魅力とHOLD文化圏についてそれぞれ解説していきます。
格安MINTの魅力
ikehaya氏が格安MINTのメリットとして挙げているのは下記の4点です。
ポイント
- 初期の「原資回収」売りが発生せず、リスト率を下げやすい
- リスクが低いので、投資家を集めやすい
- 発行枚数を多く取ることができるため、コミュニティの盛り上げを作りやすく、また時価総額も上がりやすい
- 「お客様」ではなく、「仲間」を集められる
それではまず、ikehaya氏が関わっている代表的な格安MINTのプロジェクト3つ(CNP、LLAC、APP)のリスト率を見てみましょう。これらはいずれも日本のNFTコレクションの中でも代表的なものになっています。
【参考:NFTMarketCap.jp】

リスト率はいずれも1%を下回っています。このリスト率の低さの要因として、格安MINTによって原資回収をするための売り圧が発生しないことが影響していると言えそうです。
また、これらのプロジェクトはいずれも初期ミント価格は0.001ethであり、投資家のリスクはほとんどありません。投資家が損をしないという事は、当たり前ですが投資家が集まりやすくなります。ここまでメリットのうち2つを見ましたが的を得ていると言えそうです。
続いてメリットの3点目です。ikehaya氏は常々NFTとコミュニティの重要性を説いていました。NFTの価値は、コミュニティの規模によって決まる部分があると考えており、格安MINTにすることによって多くの参加者を抱える大規模なコレクションとすることができます。
格安MINT以外のプロジェクトは完売できないリスクがあるため、発行点数を3000枚程度で調整することが多い一方で格安MINTの場合はそのリスクが低くなるため、1〜2万点の発行で運営することが多いです。

格安MINTとすることで発行点数が多くなり、結果的にコミュニティの規模が大きなコレクションとしてスタートできる点は大きなメリットと言えるでしょう。
メリットの4点目としては格安MINTで売り圧が少なく、かつ、大規模なコミュニティとしてスタートを切ることで「仲間」意識が生まれやすい点として挙げています。
海外コレクションとの比較
ここまで日本のNFTについて格安MINTのメリットとしてリスト率が低いことやコミュニティの規模が大きい(ユニークユーザー数が多い)ことを紹介しました。ではここで海外コレクション、いわゆるブルーチップ銘柄と比較しておきたいと思います。代表例としてBAYC、AZUKI、Doodlesを取り上げます。

発行点数はいずれも1万点で格安MINTの一般的な発行点数と似通っています。続いてリスト率は4~6%で、格安MINTのプロジェクト3つ(CNP、LLAC、APP)と比べるとその差が見てとれます。
次にユニークユーザーですが、50~60%となっており、格安MINTのプロジェクト3つ(CNP、LLAC、APP)は15~30%のため、比較すると海外のブルーチップ銘柄の方がコミュニティ規模が大きいと言えるでしょう。
HOLD文化圏について
続いて日本のNFTにおいてもう1つの特徴である、HOLD文化圏について下記のikehaya氏のNOTEを参考に説明します。
【参考:「ガチホ文化圏」構想。】
HOLD文化圏とは何でしょうか?まずは下記の図をご覧ください。

既に(CNP、LLAC、APP)については確認しましたが、これらのプロジェクトと相関関係が高い(ホルダーの重複が見られる)プロジェクトがあります。わふく、KAMIYO、しきぶちゃん、TAGが該当しますが、それぞれ確認しておきましょう。

データを一度まとめます。
プロジェクト名 | 発行点数 | フロアプライス | リスト率 | オーナー数 | ユニークオーナー率 |
Live Like A Cat | 22,222 | 3.45eth | 0.2% | 3,320 | 15% |
CryptoNinja Partners | 22,222 | 2.7eth | 0.8% | 5,260 | 24% |
Aopanda Party | 10,000 | 1.48eth | 0.6% | 2,865 | 29% |
WAFUKU GEN | 11,111 | 0.43eth | 1% | 1,978 | 18% |
Kamiyo | 13,888 | 0.26eth | 0.9% | 1,826 | 13% |
ShikibuWorld | 10.000 | 0.52eth | 1% | 2,167 | 22% |
Tokyo Alternative Girls | 9,999 | 0.23eth | 2% | 1,815 | 18% |
これらのコレクションは全て格安MINTであり、リスト率がいずれも低い点が特徴として挙げられます。また、相関図のとおりホルダーが重複している点も特徴です。ikehaya氏としてはこのようなコレクションをさらに増やして、HOLD文化圏を作り上げることを狙っているようです。
HOLD文化圏を作り上げるメリット
ikehaya氏がここまでHOLD文化圏を作り上げることに注力している理由は何でしょうか。メリットとして下記の点を挙げています。
ポイント
- HOLD率が高いと、コミュニティが強く、長期的な発展を期待しやすい
- HOLD率が高い(リスト率が低い)と常時、売り板が薄いので価格上昇を期待しやすい
- 局所的なボラティリティ上昇で、利ざやを取れる可能性がある
HOLD率が高いという事は裏を返せばリスト率が低いという事ですので、格安MINTのプロジェクトがここで繋がってくるわけですね。
どのようにHOLD文化圏を作り上げるのか?
メリットについては分かりましたが、実際どのようにHOLD文化圏を作り上げるのでしょうか。格安MINTに設定することも勿論重要ですが、それだけではリスト率1%以下を実現することは不可能に思えます。
そこでikehaya氏は「既存プロジェクトをHOLDしている人」にALを渡すというやり方を取っています。音声コンテンツでは「クリエイターが一生懸命作ったものを1日~1週間で売るやつには絶対に渡さない。プロジェクト側にはその責任がある。」「だから私はすぐに売らない人を過去の言動やコミュニティでの活動、オンチェーンデータから徹底的に分析して選定した。」ということを仰っていました。
また、海外市場やNFTの産業についてこのようなことも仰っていました。
- 海外市場は短期トレーダーが多く、MINTしてすぐ売るといった行為が横行している。これでは産業は育たない。
- 短期トレーダーは時には重要、特にバブル相場では重要な役割を果たすが、現状の下落相場では悪である。なぜなら初期段階で売られすぎるとプロジェクトが育つ前に終わってしまうから。何度も言うがこれでは産業は育たない。
- もっと市場が成長すればどんどんトレードはすればいいが、今はまだ市場が小さすぎる。投資家がしっかり儲かる市場を形成していかなければ成長はない。
- HOLD文化を悪く言う風潮もあるがそれはおかしいと思っている。今年はHOLD文化圏を拡大していきたいと思っている。これはNFT産業全体のためにもなると思っている。
2023年はメリットの大きい「HOLD銘柄」に投資マネーや一定の投機マネーが集まることになるとikehaya氏は予想しています。
日本のNFTから今後ブルーチップ銘柄は出てくるか
ここまで格安MINTのメリットや日本のHOLD文化圏について紹介してきました。では、今後日本のNFTからブルーチップ銘柄は出てくるでしょうか。海外の反応を見ているとやはりこの点に注目が集まっていますので最後に少し見解を述べたいと思います。
まず基本的なことですが、日本に限らずまだまだNFTの市場自体が小さくマクロ経済や市場の状況に大きく左右されます。したがってバブル期に誕生したプロジェクトと低迷期に誕生したプロジェクトでは運営側の戦略も変わってくると思います。
そのうえで、閑散期が続く間は少なくとも格安MINTや日本のHOLD文化圏が注目され続けると思っています。そしてALを獲得することは今後さらに難しくなると思います。
日本のNFTに関心がある場合はまずはikehaya氏(@IHayato)をフォローし、周辺のプロジェクトを追う事が第一段階です。今後日本のNFTから新たなブルーチップ銘柄が出てくるかは分かりませんが今よりもさらに盛り上がると思っています。
またここまでメリットを中心に紹介してきましたが、1つ懸念点を挙げるとするとHOLD文化圏はホルダーが重複し、コミュニティの拡張性に難があるという事です。仲間意識が高いという事はメリットである一方で見方を変えればホルダーに偏りが見られるため、その傾向を好まない人も一定数います。
ここまで読んでいただきありがとうございます。日本のNFTの特徴を理解していただき、これがリサーチの参考になれば幸いです。